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2024.11.15

【いまさら聞けない!?】性病のマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症、専門医がはじめからていねいに説明します。|専門医監修|東京・性病検査|銀座ヒカリクリニック

1 マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?

マイコプラズマ・ウレアプラズマとは膣性交、肛門性交、オーラル行為などで粘膜感染をする性感染症の原因菌の1つとされています。歴史的には淋菌やクラミジア以外に尿道炎を来す何かしらの菌が存在しそうである、という考え方(これを非クラミジア性非淋菌性尿道炎という)が1980年代頃より存在し、その「何かしらの菌」の中で最も多いとされているのが2012年から本邦で検査ができるようになったこの、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症なのです。

1.1 原因菌は4種類

まず広義のマイコプラズマ属というのがあり、その中に狭義のマイコプラズマ、ウレアプラズマとわかれます。さらに狭義のマイコプラズマはジェニタリウムとホミニスに、ウレアプラズマはパルバムとウレアリチカムに分かれます(以下)。

マイコプラズマ・ウレアプラズマとは

  • 広義のマイコプラズマ → 狭義のマイコプラズマ・ウレアプラズマに分かれる。
  • 狭義のマイコプラズマ → ジェニタリウム(以下、M.ジェニタリウム)、ホミニス(以下、M.ホミニス)に分かれる。
  • ウレアプラズマ → パルバム(以下、U.パルバム)、ウレアリチカム(以下、U.ウレアリチカム)に分かれる。

これらの4つに関してはそれぞれ性格が全く異なる事がわかってきました。

1.2 マイコプラズマ肺炎と同じ病気?

性感染症の扱うマイコプラズマはマイコプラズマ肺炎とは完全に異なる菌です。マイコプラズマ肺炎は、呼吸器症状などがあり、細菌のマイコプラズマニューモニエが検出される肺炎ですが、これは、我々の扱うM.ジェニタリウム、ホミニス、ウレアプラズマなどとは完全に異なる細菌です。

2 マイコプラズマ・ウレアプラズマの主な感染経路

マイコプラズマ・ウレアプラズマはクラミジアと構造的にも挙動的にも似ており、粘膜感染をします。したがって、のどや性器などの円柱上皮が感染源であり、そこから唾液、尿、精液、膣分泌物などの体液を介してお相手の粘膜へと感染が広がっていきます。

一方、皮膚と皮膚の接触感染や、飛沫や空気を介した感染は致しません。

2.1 感染率・感染力

当院で検査をされた方のデータ(2020.11-2022.1、連続する患者)によれば、感染率はそれぞれ以下となります。

特徴としては尿や膣分泌部中のM.ジェニタリウムは多く存在するが、のどには少ない事膣分泌物においてはU.パルバムが4割を占め、多い事、のどではU.ウレアリチカムが多い事です。

*罹患率とは検査を受けた人のうち、陽性になった人の割合です。

検体と菌種 りかん率
尿M.ジェニタリウム 8.1%
尿M.ホミニス 5.8%
尿U.パルバム 10.9%
尿U.ウレアリチカム 10.1%
おりものM.ジェニタリウム 10.9%
おりものM.ホミニス 19.2%
おりものU.パルバム 39.3%
おりものU.ウレアリチカム 18.9%
のどM.ジェニタリウム 0.3%
のどM.ホミニス 3.9%
のどU.パルバム 3.6%
のどU.ウレアリチカム 6.8%

2.2 感染する部位

感染部位に関しては、経路で述べた通り、咽頭、尿道、子宮頚管部、肛門(直腸)などの粘膜です。これらに共通する事は円柱上皮細胞からなる組織であるという点です。それぞれ、粘膜から体液を通じて次の個体へと感染が広がっていくのです。

3 マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状と潜伏期間

3.1 男性の症状

男性では主にM.ジェニタリウムによる尿道ムズムズ感、透明の膿、U.ウレアリチカムによる激しい尿道痛が有名です。M.ホミニスやU.パルバムで症状を来すことは稀です。のどは性器に比べて症状は軽微または無症状です。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は3週間程度とされています。検査時期は症状が出る前からしても、感染していれば陽性が出ます。

3.2 女性の症状

女性の場合はおりもの増加や、細菌性膣症を合併して悪臭を伴う事がありますが、基本的にはクラミジアなどと同様であり、無症状がとても多いです。

3.3 咽頭(のど)や直腸に感染した場合の症状

のどや直腸に感染した際の症状は軽微またはほとんど無症状です。

3.4 クラミジアや淋病など、他の性病と重複感染している可能性がある

マイコプラズマ・ウレアプラズマは細菌としての構造がクラミジアとよく似ており、また感染経路は淋菌やクラミジアと似ており、不特定多数の人との性行為が原因であるという点から重複感染する事がとても多いです。

性感染症全般に言える事ですが、不特定多数の人との性行為がある方がリスクが高いです。つまり風俗利用の方など。しかし、一方で、風俗など関係なく自分のパートナーからの感染もあります。そのような時に必ず患者さんが言う言葉はこれです。「彼女に限ってそんな不貞な子じゃないんです」。その気持ちはとてもよく分かりますが、人間心理として、自分が不貞であることを暴露したい人はいません。

3.5 放置すると男女ともに不妊症のリスクを伴う

放置してしまうと、男性では精子の数や運動量に異常が現れることが知られています。女性では、流産や低出生体重児が生まれるリスクが高まるという報告があります。ただし、マイコプラズマやウレアプラズマを有している全ての人がそのようになるというわけではありませんでの過剰に心配をする必要はありません。今後妊活を目指している方は、見つけた時に治療をしておくことを私は勧めています。

4 マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査方法とは?

検査は主にうがい液、尿、子宮頚管部擦過物、肛門擦過物などの検体を採取し、拡散増幅法と呼ばれる遺伝子を増幅する検査法で行います。培養はできない事はないと言われていますが、とても難しく日々の検査法としては現実的ではありません。

4.1 男性の検査方法

尿検体を数ml採取し、専用の容器に入れ、拡散増幅検査を行います。

4.2 女性の検査方法

子宮頚管部を綿棒(スワブと言います)で採取し、専用の容器に入れ、拡散増幅検査を行います。

4.3 咽頭や直腸の検査方法

生理食塩水を用いて、うがい液を数ml採取します。直腸の検査はおりもの検査と同様に綿棒を肛門から入れて検体を採取します。それぞれ、専用の容器に入れ、拡散増幅検査を行います。

4.4 もしも陽性だったらパートナーに知らせたほうがいい?

冷静に話せる(話の通じる相手)のであれば、通常は知らせた方が相手と自分の為であると考えますが、世の中は病気や性的なものに対する偏見やタブー視が根強くトラブルになることもあります。慎重に対応しましょう。ただ、多くの場合性病陽性が出た場合は、①どちらが犯人か分かりません。②いつ感染したか分かりません。このポイントは相手にとっても同様です。相手から性病を打ち明けられた時には冷静に対応しましょう。良い例を以下に記します。

もしもパートナーが性病検査陽性だったら……

  • パートナー「大切な話があるので、聞いてくれるかな?」
  • あなた「何? どうしたの?」
  • パートナー「えっとね、ちょっと言いづらいんだけど」
  • あなた「言ってみて、ちゃんと聞く」
  • パートナー「実は性病になっちゃって……」
  • あなた「そうなんだ。もともと私が持っていたかもしれないし、いつ感染したかはわからないのでしょ。私も検査に行ってくるね」

皆が皆、このように理想的に事が運ぶわけではありませんが、今これを読んでくれているあなたがそのような対応を取ってくれたら、多くの性病患者さんが救われると私は考えています。間違えても「ちょっと待って、信じられない、浮気? いつ? 最悪じゃん。私も絶対にかかってるじゃん、検査・治療費払ってね」とまくしたててしまわないようにお願いします。打ち明けてくれたのはあなたの事を思ってのことです。本当にいけないのは“浮気をする人”ばかりでなく、“性病を黙っているような人”かもしれません。しかし、日ごろからすぐに怒ってしまうような人は、大切な事をも打ち明けてはくれなくなってしまう可能性があります。

大切なポイントは二つです。覚えておきましょう。
カップルの片側に性病陽性が発覚した時、それは、①犯人はどちらか分からない。②いつ感染したか分からない。です。大切な事なので2度言いました。

5 マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマは共に細菌ですので、抗生剤治療が有効です。また、前述の通り、マイコプラズマやウレアプラズマは細胞壁を持たない細菌であるので、細胞壁障害性の抗生剤は無効とされています。これはクラミジアにもとても良く似た特徴です。よって、クラミジアに効き目のあるお薬が推奨されています。

5.1 M.ジェニタリウムは治りにくい、医師の指示に従い確実な治療が重要

当院データより、M.ジェニタリウムの一回治癒率は56.5%と低く4つの菌のうち、極端にM.ジェニタリウムだけが治りにくい菌とされています。そしてこれは当院データだけでなく、学会や世界中で発表されている先行論文ともほぼ一致しています。それでは、M.ジェニタリウムはどのように治療をしたらよいのでしょうか。当院院長の剣木憲文先生はこれまでM.ジェニタリウムに対して様々な抗生剤の組み合わせと用量を試行錯誤して治療に臨まれたご経験がございます(一部は下のリンクからご参照頂けます)。日本性感染症学会でも毎年ご出席されており、常に最新の見地から治療選択をなさっています。

 

“他院で治療しているが治りにくいと判断される患者様に関しては一度ご相談下さいませ”

一方、M.ジェニタリウム以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマに関しては比較的治りやすく治療に難渋する事は稀です。

6 治療開始~完治まで

当院では、M.ジェニタリウムのみが治りにくいという事から、M.ジェニタリウムとM.ジェニタリウム以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマで、治療を分けています。

原因菌 効果的な治療法
M.ジェニタリウム

最初から2種類または3種類の抗生剤を使用。

→飲み始めから3-4週間後に治癒検査

→陰性であれば終了、再陽性であればさらに2種類の抗生剤を投与。

→さらに3-4週間後に治癒検査

M.ジェニタリウム以外の
マイコプラズマ・ウレアプラズマ

抗生剤1剤を2週間投与。

→飲み始めから3-4週間後に治癒検査

→陰性であれば終了、再陽性であればさらに1種類の抗生剤を投与。

→さらに3-4週間後に治癒検査

7 予防するのが大事

当たり前ですが、コンドームの使用とこまめな性病検査が大切です。上記のようにマイコプラズマ・ウレアプラズマは時として治りにくい事があります。また、性病としての症状を来すときや、妊娠を阻害してしまう事などがあります。かかってしまったら検査、治療を行う事が大切ですが、かからないようにするためにはコンドームの着用があなたを守ってくれます。しかし、コンドームが100%安全とも言えません。オーラル行為の時にはコンドームを使用しないカップルがほとんどですし、破れる事やつけ間違える事なども考えられます。もう一つの予防法としてはこまめに性病検査を受け、早期発見する事につきます。

8 マイコプラズマ・ウレアプラズマかなと思ったらご相談ください

当院では、リーズナブルな価格でマイコプラズマ・ウレアプラズマ検査を行っています。この価格設定は院長先生が一人でも多くの方に症状の激しいマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染の方や妊娠を待ち望んでいる患者様方の事を思い、実現している価格設定でございます。ぜひ、気になった際には検査をしに銀座にいらしてくださいませ。

検査項目 料金
尿マイコプラズマ・ウレアプラズマ 6,600
おりものマイコプラズマ・ウレアプラズマ 6,600
のどマイコプラズマ・ウレアプラズマ 6,600
肛門マイコプラズマ・ウレアプラズマ 6,600

他院で検査をしたけれども自分の場合は治療をした方が良いのか否か迷ってしまう場合や、治療もしたのだが、再陽性が出てしまいなかなか治りにくい患者様に関しても、当院の院長先生は日本性感染症学会認定医をお持ちで、専門性の高い治療が可能ですので、是非ご相談くださいませ。

9 まとめ

以下、まとめます。

まとめ

  • 1.淋菌やクラミジアが陰性の場合で、性器やのどの症状がある場合は検査をした方が良い。
  • 2.肺炎のマイコプラズマとは全く別の病気である。
  • 3. M.ジェニタリウムは治療しなければいけない。
  • 4.M.ジェニタリウム以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマは、自分または相手が妊活を目指している場合は積極的に治療したほうが良い。
  • 5.治療をする場合には最新の知見をもって、正しい抗生剤投与を行う。
  • 6.しっかり、予防する。早期発見に努める。

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