1.はじめに
慢性前立腺炎は、多くの男性が経験する疾患の一つであり、その症状や治療法については現在もさまざまな研究が進められています。特に、尿道炎症状を呈しながらも、細菌検査で菌が検出されないケースが多く、治療に難渋することが少なくありません。すべての検査を行っても陰性であるにもかかわらず、持続的な不快感や排尿症状が続く場合、治療法の選択肢としてセルニルトン(Cernilton)が注目されています。
2.慢性前立腺炎とは?
慢性前立腺炎は、大きく「細菌性」と「非細菌性」に分類されます。細菌性の場合、明確に感染源が特定できるため、適切な抗生剤治療が奏功することが多いですが、一方で、検査を繰り返しても原因となる菌が検出されない「非細菌性慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)」の患者は非常に多く、その治療が課題となっています。
特に、当クリニックのような性病専門の施設には、頻尿や排尿時の違和感、会陰部の不快感といった尿道炎症状を訴えて受診される患者が多くいらっしゃいます。こうした患者に対し、クラミジアや淋菌、マイコプラズマ・ウレアプラズマなど、考えうるすべての性感染症の検査を行っても陰性であることが珍しくありません。
3.それでも続く症状にどう対処するか?
細菌が特定できない場合、抗菌薬を長期投与することの有効性は限定的です。そのため、抗炎症作用を持つ薬剤や植物由来のお薬が注目されるようになり、その一つが「セルニルトン」です。
4.セルニルトンとは?
セルニルトンは、ライ麦花粉抽出物を主成分とする植物由来の製剤で、古くから慢性前立腺炎や前立腺肥大症の治療に用いられてきました。その効果には以下のようなものが期待されています。
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抗炎症作用:前立腺や尿道周囲の炎症を抑制し、痛みや不快感を軽減する。
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血流改善:前立腺への血流を促進し、慢性的な鬱血を改善する。
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排尿機能の改善:膀胱頚部や前立腺の緊張を和らげ、頻尿や残尿感の軽減に寄与する。
5.セルニルトンの臨床的効果
複数の研究において、セルニルトンは非細菌性慢性前立腺炎の症状改善に一定の効果を示していると報告されています。特に、抗生剤やα1ブロッカーと併用することで、排尿症状や会陰部の違和感の軽減に寄与する可能性が示唆されています。
また、セルニルトンは天然成分由来であり、副作用のリスクが比較的低いことから、長期間の使用にも適していると考えられています。ただし、すべての患者に有効とは限らず、症状の程度や原因によっては他の治療法との併用が必要になるケースもあります。
6.まとめ
慢性前立腺炎、とくに菌が検出されない非細菌性慢性前立腺炎は、多くの男性にとって長期間の悩みとなることが少なくありません。すべての検査を行っても陰性で、それでも症状が続く場合、セルニルトンを含む抗炎症療法や生活習慣の改善を取り入れることが有効な選択肢となります。
当院では、東京・中央区銀座にて、性病専門のクリニックとして、慢性前立腺炎の診療も行っております。症状に合わせた最適な治療をご提案いたしますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
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記事監修
院長 剣木憲文(けんのき のりふみ)
医師、医学博士
日本性感染症学会認定医
銀座ヒカリクリニック院長-
メディア(取材)
銀座ヒカリクリニック
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