- 1.はじめに
- 1-1. クラミジア感染症
- 1-2. 淋菌感染症
- 1-3. 梅毒
- 1-4. ヒトパピローマウイルス(HPV)
- 1-5. ヘルペスウイルス感染症
- 1-6. HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
- 1-7. トリコモナス症
- 1-8. B型肝炎ウイルス(HBV)
- 1-9. C型肝炎ウイルス(HCV)
- 1-10. 細菌性膣炎
- 2.妊娠中の性感染症を予防するためのポイント
- 3.結論
1.はじめに
性行為によって感染する性感染症(性病)は、妊娠において重大な影響を及ぼす可能性があります。性感染症は妊娠中の母体だけでなく、胎児や新生児にも深刻な健康問題を引き起こすことがあります。このコラムでは、性感染症専門医の視点から、妊娠中に特に注意すべき性病とそのトラブルについて解説します。
1-1. クラミジア感染症
クラミジアは、性感染症の中でも最も一般的なものの一つです。妊娠中のクラミジア感染は、早産や破水のリスクを高めるほか、出産時に新生児に感染する可能性があります。新生児においては、結膜炎や肺炎の原因となることが多いため、早期の検査と治療が必要です。
1-2. 淋菌感染症
淋菌感染症は、クラミジアと同様に無症状で進行することが多いですが、妊娠中に感染すると流産や早産、子宮内感染のリスクが高まります。また、分娩時に新生児が感染すると、結膜炎を引き起こす可能性があります。定期的なスクリーニングと治療が重要です。
1-3. 梅毒
梅毒は母子感染するリスクが非常に高い性感染症です。妊娠初期に感染した場合、胎児に奇形や死産を引き起こす可能性があります。梅毒は早期に診断すればペニシリンによる効果的な治療が可能です。妊娠中の血液検査による早期発見が鍵となります。
1-4. ヒトパピローマウイルス(HPV)
HPVは子宮頸がんの主な原因とされるウイルスであり、一部のタイプは性器疣贅(コンジローマ)を引き起こします。妊娠中の免疫力低下により、症状が悪化する場合があります。分娩時にウイルスが新生児に感染すると軌道に気道ができ、再発を繰り返す、再発性呼吸器乳頭症を発症する可能性もあるため、医師と相談しながら経腟分娩か帝王切開を選択することが推奨されます。
1-5. ヘルペスウイルス感染症
単純ヘルペスウイルス(HSV)は、性器ヘルペスを引き起こします。妊娠中に初感染すると、胎児に重大な影響を与えることがあります。分娩時に活動性の病変がある場合、帝王切開が選択されることが一般的です。予防的な抗ウイルス薬の使用も考慮されます。
1-6. HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
HIVは母子感染のリスクが高く、適切な治療が行われない場合、胎児や新生児への感染率は高くなります。しかし、抗レトロウイルス療法(ART)の普及により、母子感染のリスクを1%未満に抑えることが可能です。妊娠前または妊娠中にHIV検査を受けることが推奨されます。
1-7. トリコモナス症
トリコモナス症は、外陰部や腟の炎症を引き起こす性感染症です。妊娠中の感染は、早産や低出生体重児のリスクを高める可能性があります。抗生物質(メトロニダゾール、商品名;フラジール)による治療が効果的であり、妊娠中の安全性も確認されています。
1-8. B型肝炎ウイルス(HBV)
B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。母子感染のリスクが高い性病の一つであり、感染した母親から生まれた新生児は慢性肝炎や肝がんのリスクが高くなります。出産後すぐに新生児にワクチン接種を行うことで感染を予防できます。
1-9. C型肝炎ウイルス(HCV)
C型肝炎ウイルスも母子感染のリスクがある性感染症です。特に出産時の血液接触を通じて新生児に感染する可能性があります。現時点では、妊娠中の治療は限られていますが、分娩方法や母乳育児の選択に注意が必要です。
1-10. 細菌性膣炎
細菌性膣炎は性感染症ではありません(性感染症関連疾患と言います)が、性行為が原因となることもあります。妊娠中に細菌性膣炎が悪化すると、早産や低出生体重児のリスクが高まる可能性があります。抗生物質治療により改善が見込まれるため、症状がある場合は早めに医師に相談してください。
2.妊娠中の性感染症を予防するためのポイント
性感染症の多くは、予防や早期治療が可能です。以下のポイントを参考に、妊娠中の健康を守りましょう。
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定期的な検査を受ける 妊娠初期の血液検査やスクリーニング検査を受け、早期発見と治療に努めましょう。
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安全な性行為を心掛ける コンドームの使用は多くの性感染症を予防する効果があります。
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パートナーと共に治療を受ける 性感染症が疑われる場合、パートナーも一緒に治療を受けることが重要です。
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ワクチン接種を検討する HPVやB型肝炎など、ワクチンで予防できる性感染症があります。妊娠前に接種するのが理想的です。
- 夫側は家庭外で性行為をする場合にドキシペップを検討する 妊婦側はドキシペップはできませんのでご注意ください。
3.結論
性感染症は妊娠中の母体や胎児に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な検査と治療、そして予防策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。疑わしい症状がある場合は、早めに医師に相談してください。専門医のアドバイスを受けながら、健康な妊娠生活を送りましょう。
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記事監修
院長 剣木憲文(けんのき のりふみ)
医師、医学博士
日本性感染症学会認定医
銀座ヒカリクリニック院長
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メディア(取材)
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