1はじめに
性感染症(STI)は、その種類や治療法において非常に幅広い知識が求められる分野です。特に尖圭(せんけい)コンジローマや伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といった疾患は、患者さんにとって見た目や症状が強いストレスになるため、治療法の選択が重要です。最近では、小太郎製薬が製造する「ヨクイニン」がこれらの疾患に効果があると注目されていますが、果たしてその効果は医学的にどの程度期待できるのでしょうか。本コラムでは、性感染症の専門医の視点から、ヨクイニンの有用性について検討してみたいと思います。
2尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる性器周辺のイボ状の病変です。特にHPVの6型と11型が原因となることが多く、これらのウイルスは高リスク型HPVとは異なり、癌化のリスクは低いものの、再発しやすいという特徴があります。
治療の基本
尖圭コンジローマの治療には、液体窒素による凍結療法、外科的切除、レーザー治療、またはイミキモド(ベセルナ®)やポドフィリン溶液(コンディリン®)などの外用薬が一般的です。これらの治療法は、直接的に病変を除去または縮小することを目的としていますが、再発を防ぐための根本的な対策が課題です。
3伝染性軟属腫とは
一方、伝染性軟属腫(俗に「水イボ」とも呼ばれます)は、ポックスウイルスの一種である伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされます。プールをする子どもに多い病気ですが、成人では性行為や接触を介して感染することがあります。外見的には、真珠様の白色ないしピンク色のドーム状の隆起が特徴で、中心部がくぼんでいることが多いです。
治療の基本
伝染性軟属腫の治療もまた、病変部の直接的な処置が中心です。専用のピンセットで摘除する方法や、ヨード剤による消毒が行われることが多いですが、痛みを伴うことが課題です。また、免疫力の向上が自然治癒を促すため、患者の体力や栄養状態も重要です。
4ヨクイニンとは?
ヨクイニンはハトムギの種子から抽出された成分で、主に漢方薬や健康食品として使用されています。ヨクイニンは皮膚疾患に対して古くから用いられており、特に尋常性疣贅(いわゆるイボ)の治療に効果があるとされています。
作用機序
ヨクイニンは、免疫系を活性化し、体内でのウイルス感染を抑える可能性があると考えられています。また、皮膚の角化を正常化する作用が報告されており、この性質がイボの改善につながるとされています。
小太郎製薬のヨクイニンは、医師による処方箋が必要です。
5ヨクイニンの医学的エビデンス
では、尖圭コンジローマや伝染性軟属腫に対してヨクイニンが効果を発揮するかについて、医学的エビデンスを見ていきましょう。
5-1. 尖圭コンジローマへの効果
尖圭コンジローマはウイルス性疾患であるため、治療の主眼は病変部の除去と再発予防です。現在までの研究では、ヨクイニンがHPVの感染そのものを排除する直接的な効果を持つとは言い切れません。しかし、ヨクイニンの免疫調整作用が患者の全体的な免疫力を高め、ウイルスの再活性化を抑制する可能性があると示唆されています。
ある研究では、ヨクイニンを補助的に使用した場合、単独治療に比べて再発率が低下したと報告されています。ただし、このエビデンスは限られており、さらなる大規模な臨床試験が必要です。
5-2. 伝染性軟属腫への効果
伝染性軟属腫はウイルスの自然治癒が可能な疾患ですが、治療には時間がかかることがあります。ヨクイニンは免疫機能をサポートし、自然治癒を早める補助的な役割を果たす可能性があるとされています。一部の報告では、ヨクイニンを内服した患者で症状の改善が早まったとのデータも存在します。ただし、これも限定的なデータに基づいており、現時点では「補助療法」としての位置づけに留まります。
ヨクイニンはどのように利用すべきか?
ヨクイニンの使用は、あくまで補助的な治療として考えるべきです。尖圭コンジローマや伝染性軟属腫の治療においては、基本となる治療法(外科的処置や薬物療法)を優先し、その上で再発予防や自然治癒の促進を目的としてヨクイニンを併用することが適切です。稀に腹部膨満感などの副作用が出る事もありますので、ヨクイニンを取り入れる場合は、専門医の指導の下で行うことを強くお勧めします。
また、ヨクイニンは副作用が少ない一方で、即効性(1,2週間単位)が期待できる治療法ではありません。そのため、長期的な視点(2,3か月単位)で利用することが重要です。
専門医としての見解
ヨクイニンは、尖圭コンジローマや伝染性軟属腫の治療において、一定の役割を果たす可能性があります。しかし、現時点では「単独でこれらの疾患を治療する薬」として考えるのは誤りです。と、医学的には言わなければいけないのですが、実際の現場では、小さいイボは結構ヨクイニン単独で消える事もあります。当院では極力ヨクイニンの力を最大限に発揮してもらいたいと考えており、液体窒素をされた患者様には126錠1瓶の料金を¥550でご提供しています(通常価格¥2,200)。また、1000錠入りの大瓶は小瓶8瓶分の量ですが、6本分の価格¥13,200で処方させていただいています。お得な価格でヨクイニンを試してみてください。
また、これらの疾患は性感染症に分類されるため、治療の一環として性行動の見直しやパートナーへの説明、場合によってはパートナーの検査・治療も必要です。適切な治療を受けることで、再発や感染の広がりを最小限に抑えることができます。
6まとめ
尖圭コンジローマや伝染性軟属腫に対するヨクイニンの効果は、免疫力を高めることで補助的な役割を果たす可能性がありますが、現時点では単独での治療法としては推奨されていません。基本的な治療を優先しつつ、専門医と相談しながらヨクイニンを取り入れることで、より効果的な治療が期待できるでしょう。
性感染症はデリケートな問題ですが、正しい知識と治療によって適切に対応することが可能です。患者さん一人ひとりに合った治療を目指し、信頼できる医療機関を頼りにしてください。
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記事監修
院長 剣木憲文(けんのき のりふみ)
医師、医学博士
日本性感染症学会認定医
銀座ヒカリクリニック院長
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メディア(取材)
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